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〒335-0002 埼玉県蕨市塚越1-5-7 蕨駅より徒歩2分

動物と人に優しい女性獣医師と、もしもの時の専門医

診療案内

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  • 一般診療
  • 犬と猫のがん専門外来
  • 電気化学療法

診療対象動物

犬・猫・うさぎ・ハムスター
※その他の動物種はお問い合わせ下さい。

診療時間

時間表

※13:00〜16:00 は手術・検査・処置・往診・予約診療などを行っています。

ペットホテルについて

  • 年末年始やお盆の時期も含め、随時受け付けています。
  • 持病や年齢などを理由に、トリミングサロンでお断りされた動物のお預かりやシャンプーなどもご相談下さい。

往診・送迎について

  • 最良の診察を行うためには来院して頂くことが原則ですが、来院困難な場合は往診も可能ですのでお気軽にご相談下さい(別途往診料がかかります)。
  • ご自宅にお薬やフードをお届けすることも可能です。

当院の料金表とこだわり

診察料 初診料 1,760円 / 再診料 1,430円 (税込み)
予防注射 犬6種混合 8,800円 / 犬8種混合 11,000円
猫3種混合 4,400円
ワクチン抗体価検査(犬) 8,800円(約2〜3週間)
(税込み)
  • 「自分の犬や猫だったら、どんなワクチンを接種するか?」という視点で「個別に」ワクチン接種プログラムを作製します。たとえば、キャンプに行く犬や、川遊びが好きな犬は、レプトスピラワクチンを含む8種混合ワクチンなどをお勧めしています。
  • 当院では、成犬のワクチン接種前に抗体価測定を推奨しています。抗体価が十分であった場合、その年はワクチン接種をせず、ワクチン抗体価証明書を発行しています。
  • 中齢以上の猫や室内飼育されている猫には、猫白血病ウイルスワクチンは必要ありません。
  • 猫における注射部位肉腫(ワクチン接種部位肉腫)の発生を最小限に抑えるため、ワクチン接種部位肉腫タスクフォースの推奨に準じたワクチン接種法を実践しています。
  • ワクチン接種前の健康状態把握、飼育環境把握を詳しく聴取するのため、別途初診料を頂いてます。
狂犬病ワクチン 狂犬病 2,970円 (税込み)
  • 犬では、1年に1回、狂犬病予防接種が法律で定められています。
  • 蕨市と戸田市にお住まいの方でしたら、狂犬病ワクチン接種後に市役所に出向く必要がありません。その場で済票を発行できます。
  • 狂犬病ワクチン接種のみの場合は診察料金を頂いていません。地域の集合注射と同じ料金で接種できます。
フィラリア予防薬の費用 〜5.6kg 869円〜
〜11.3kg 1,100円〜
〜22.6kg 1,430円〜
〜45.3kg 1,760円〜 (オールインワン製品は 5.6Kg 3,311円〜)
(税込み)
  • 当院で使用しているフィラリア予防薬はイベルメックPIとネクスガードスペクトラです。
  • 1カ月(バラ売り可)から購入できます。成長過程の犬、あるいは体重区分の境界付近の体重の犬で便利です。
  • 6カ月分(1箱)以上購入される場合、10%引きです。
  • 毎年シーズン最初の投薬前には、血液検査(フィラリア抗原検査 1,760円)が必要です。通年フィラリアを予防している場合には血液検査は不要です。

不妊(避妊)手術、去勢手術料金

犬
雄 5kg以下:30,635円〜
6kg〜11kg:32,835円〜
12kg〜16kg:36,135円〜
*17kg以上要相談(41,635円〜)
雌 5kg以下:54,065円〜
6kg〜11kg:59,565円〜
12kg〜16kg:66,165円〜
*17kg以上要相談(71,665円〜)
  • 上記は税込み価格です。
  • 不妊手術って簡単に言いますけど、子宮と卵巣の2臓器を摘出する大手術です。とてもじゃありませんが、当日には返せません。2泊3日の入院費込みの価格です。
  • 犬の年齢や全身状態によっては、別途血液検査料金が必要な場合があります。
  • 当院の去勢および不妊手術は、安全な吸入麻酔薬(イソフルラン)を使用しています。
  • 当院では、去勢・不妊手術を含む、全ての手術に血液凝固系検査(3,575円)をお勧めしています。
猫
雄 25,685円〜 雌 51,865円〜
  • 上記は税込み価格です。
  • 不妊手術って簡単に言いますけど、子宮と卵巣の2臓器を摘出する大手術です。とてもじゃありませんが、当日には返せません。2泊3日の入院費込みの価格です。
  • 猫の年齢や全身状態によっては、別途血液検査料金が必要な場合があります。
  • 当院の去勢および不妊手術は、安全な吸入麻酔薬(イソフルラン)を使用しています。
  • 当院では、去勢・不妊手術を含む、全ての手術に血液凝固系検査(3,575円)をお勧めしています。
ペットホテル料金 猫 および10kgまでの犬 4,400円 / 10.1〜20kg 5,500円
20.1〜30kg 7,700円 / 30.1kg以上 9,900円〜
(税込み)
  • つまり、5Kgの犬場合、1泊2日の料金は4,400円、2泊3日は8,800円、3泊4日は13,200円です。
  • お預かり中、シャンプーや健康チェックなどを同時に実施することも可能です。
  • 通年同一料金。お盆、正月料金がありません! 1カ月以上前にご予約頂くと早割料金あり。
  • 大型犬用のケージが4つあります。
  • 病院裏にドックランがあり、犬は1日2回、お散歩と運動をさせています(悪天候時を除く)。
  • ペットホテルのお預かり&お返しは年中無休です。9〜18時であれば、元旦でもお預かり&お返し可能です。
その他の料金に関しては、電話でお問い合わせ下さい。

診療対象動物

犬・猫

犬と猫のがん専門外来をご希望の方へ

  • 小林犬猫病院をかかりつけ医としている場合、あるいはホームドクターからご依頼のあった場合に犬と猫のがん専門外来を完全予約制にて行っています。診察時間は下記の通りです。がん治療のセカンド・オピニオンやがん検診も承ります。

時間表

概要

イメージ 局所に約800〜1200Vの電気をかけると、通常は細胞膜を貫通しにくい化学療法剤が細胞内に取り込まれるようになり(ブレオマイシンでは約700倍)、腫瘍細胞が死滅します。全身あるいは局所に投与される化学療法剤は、一般的な化学療法の数分の1以下であるため、全身の副作用が発現することはまれです。電気化学療法は、放射線治療ほど局所制御力はありませんが、不完全切除あるいは辺縁部切除された悪性腫瘍を無治療で経過観察し続けるよりも再発率を低減することが可能と考えられています。
電気化学療法はヨーロッパでは比較的古くから、米国では最近導入され始めました。また、最近は動物だけでなく、人にも臨床応用が始まっています。
犬の適応例 猫の適応例
顕微鏡的病変(手術後など、明らかな腫瘍塊が存在しない場合)
  • 原則的に全ての悪性腫瘍、特に不完全切除(あるいは辺縁部切除)となった軟部組織肉腫や肥満細胞腫など
  • 原則的に全ての悪性腫瘍、注射部位肉腫など
肉眼的病変(腫瘍塊が存在する場合)
  • 肥満細胞腫
  • 扁平上皮癌
  • 肛門嚢腺癌(肛門嚢アポクリン腺癌)
  • 棘細胞性エナメル上皮腫など
  • 肥満細胞腫
    皮膚、鼻鏡、顔面の扁平上皮癌など
  • 電気化学療法で闘った動物たちの記録
  • よくある質問集

電気化学療法で闘った動物たちの記録

猫の末梢神経鞘腫瘍(13歳齢、去勢雄、雑種猫):どうしても脚を救いたい!
写真1. 初診時の写真。腫瘍の底部は固着しており、手首の腱や血管も巻き込んでいそうです。腫瘍のみを切除する単純な手術では「腫瘍の根」が残ってしまい、再発を免れることは難しいと判断しました。断脚をすれば、腫瘍を完治させることが可能なのは理解できるのですが… 「どうしても脚を温存したい」というご家族のご希望もあって、今回は電気化学療法(ECT)を用いて、前肢を温存する治療を試みることにしました。
写真2. (第7病日):第1回目の電気化学療法から1週間後の写真。この時点で腫瘍の大きさは、ほとんど変わっていません。このあとから腫瘍が急速に縮小し、腫瘍があった部分の皮膚にびらんや潰瘍が起こります(電気化学療法のダウンタイム)。ダウンタイムが始まってから約2カ月間は、週2回の通院で傷口の消毒と包帯交換、ご自宅では1日1回、患部の包帯交換と軟膏の塗布をお願いしました。患部が落ちつくと、週1回、その後は月1回と、通院頻度は徐々に減りました。また、治療中の痛みに関しては、低用量メロキシカムやブプレノルフィンの内服によってしっかりと抑えます。
写真3. (第126病日):腫瘍は顕著に縮小し、わずかにかさぶたが残っている程度です。
写真4. (第374病日):治療開始から1年が経ち、腫瘍は完全に消失しています。ちなみに、ECT前後で外科治療、化学療法、放射線治療などは併用していません。でも、第1回目のECTから半年を経過した頃に再発が認められ、第2回目のECTを実施しています。今回はにゃんこの温厚な性格とご家族の献身的なケアのおかげで、ご自宅での包帯交換もなんとかこなすことができました。そして、断脚を回避できただけでなく、前肢の機能も温存することができました。
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犬の口腔内悪性黒色腫(口腔内メラノーマ):できるだけ近くの病院で治療したい!
写真1. 歯肉に発生した悪性黒色腫(=メラノーマ)。ホームドクターのもとで一度切除されたが、奥歯の外側に再発を疑う再発が認められた(○で囲った部分)。この場合、右下顎骨部分(片側)切除、あるいは放射線治療が標準的な治療法。一方、諸般の理由から、ご家族はできるだけ近くで治療できる電気化学療法をご希望された。
写真2. 第2回目のECTから7日目の写真。奥歯の外側に潰瘍は若干残っているが、腫瘍の大部分は消失した。
写真3. 初回ECTから84日後に再発を確認。局所にシスプラチンを投与後、組織に刺入するタイプの電極を用いて第3回目のECTを実施。
写真4. 第3回目のECTから35日後の写真。明らかな腫瘍塊は完全に消失。その後、約7カ月間、局所再発や肺への転移は認められなかった。
写真1イメージ 写真2イメージ 写真3イメージ 写真4イメージ

合計4回のECTがなされたが、初診から約1年後に下顎骨およびリンパ節への転移を確認。その後、残念ながら、ホームドクターのもとで安楽死がなされた。

犬の棘細胞性エナメル上皮腫(6歳齢、避妊雌、雑種犬):健康な歯と顎を残してあげたい!
写真1. 治療開始前の写真。下顎歯肉に発生した棘細胞性エナメル上皮腫。棘細胞性エナメル上皮腫は良性腫瘍で転移はしないが、「腫瘍の脚」が長く、術後再発率が比較的高いのが特徴。外科単独で完全切除を目指すのであれば、抜歯はもちろん、下顎骨を部分的に切除する必要がある。一方、ご家族は歯と下顎骨を温存する治療法を希望した。
写真2. 第1回目のECTから43日後の肉眼写真。腫瘍は残存しているが、治療前よりだいぶ縮小している。
写真3. 第1回目のECTから127日後の肉眼写真。腫瘍は完全に消失した。
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犬の口腔内悪性黒色腫(口腔内メラノーマ):できるだけ近くの病院で治療したい!
写真1. 歯肉に発生した悪性黒色腫(=メラノーマ)。ホームドクターのもとで一度切除されたが、奥歯の外側に再発を疑う再発が認められた(○で囲った部分)。この場合、右下顎骨部分(片側)切除、あるいは放射線治療が標準的な治療法。一方、諸般の理由から、ご家族はできるだけ近くで治療できる電気化学療法をご希望された。
写真2. 第2回目のECTから7日目の写真。奥歯の外側に潰瘍は若干残っているが、腫瘍の大部分は消失した。
写真3. 初回ECTから84日後に再発を確認。局所にシスプラチンを投与後、組織に刺入するタイプの電極を用いて第3回目のECTを実施。
写真4. 第3回目のECTから35日後の写真。明らかな腫瘍塊は完全に消失。その後、約7カ月間、局所再発や肺への転移は認められなかった。
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合計4回のECTがなされたが、初診から約1年後に下顎骨およびリンパ節への転移を確認。その後、残念ながら、ホームドクターのもとで安楽死がなされた。

犬の口腔内扁平上皮癌(12歳齢、チワワ):大がかりな外科手術や放射線治療の代替策として
写真1.

治療開始前の扁平上皮癌の写真。右臼歯の周りに存在するモコモコとした隆起物(矢印)が扁平上皮癌。この腫瘍を治療するためには、上顎骨を含めた広範囲な外科手術あるいは約1カ月間かけた放射線治療のいずれかが標準的な治療法である。

写真2. 第1回目のECTから22日目の写真。扁平上皮癌は顕著に縮小した。腫瘍が縮小し、グラグラとなった臼歯を抜歯した結果、一過性の出血が認められている。ECT後の副作用としては口の痛みが発現。ただし、ご家庭での痛み止めの内服および食事変更で体重は維持できている様子。
写真3. 第2回目のECTから30日後の写真。腫瘍はさらに縮小し、肉眼的に確認可能な扁平上皮癌はわずか。
写真1イメージ 写真2イメージ 写真3
犬の口腔内悪性黒色腫(11歳齢、シェルティー):少しでも楽になる治療をしてあげたい!イメージ
写真1.

硬口蓋〜軟口蓋に発生した悪性黒色腫(=メラノーマ)。矢印で囲った黒い部分が全て腫瘍。残念ながら、初診時には既に、頸部の複数のリンパ節(下顎リンパ節や内咽頭後リンパ節など)に腫瘍が転移していた。この様な場合、転移巣であるリンパ節も含めた緩和放射線治療が標準的な治療。一方、諸般の理由から、ご家族は緩和治療としての電気化学療法をご希望された。

写真2. 第1回目のECTから35日後の肉眼写真。腫瘍は扁平化し、辺縁が明瞭化している。第1回目のECTから5カ月後に転移病変の進行によって安楽死がなされるまで、腫瘍はほぼ同等の大きさを維持した。
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犬の軟部組織肉腫(14歳齢のボーダー・コリー):脚の断脚だけはいや!
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治療開始前の前肢前腕部に発生した軟部組織肉腫。脚を切断しない限り、外科単独での完全切除は困難であることが予想された。 外科手術中の写真。腫瘍の大部分が切除されたが、一部(矢印)は下部組織に固着している様子。 電気化学療法から127日後の写真。傷は完治し再発もない。外科治療から約22カ月、再発および転移は認められていない。

イメージ

摘出された病理組織検査写真。紫色の部分が全て腫瘍細胞。腫瘍細胞が辺縁部まで広がっており(矢印)、不完全切除であることが確認された。このままでは再発リスクが高い。術後の補助治療として、患肢の切断、約1カ月間におよぶ放射線治療、電気化学療法がご提示され、ご家族は電気化学療法を選択された。

イメージ

電気化学療法から43日後の写真。電気化学療法の副作用で皮膚の一部が壊死を起こしたが、その後間もなく皮膚は治癒した。

猫の鼻平面の扁平上皮癌猫の非平面の扁平上皮癌(11歳齢の雑種猫):顔面が変形するような手術は避けたい!
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電気化学療法前の写真。鼻平面の扁平上皮癌が拡大し、口唇まで広がっている。標準的な治療として、変色している部分を取り除く大がかりな外科手術、あるいは約1カ月間におよぶ放射線治療が適用となる。 2〜3週おきに合計4回の電気化学療法を終え、治療開始から7カ月後の写真。肉芽はきれいに増生しており、日常生活にも全く支障がないレベルまで回復した。
猫の上顎に発生した肥満細胞腫(4歳齢の雑種猫):眼瞼機能を温存したい!
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治療開始前の左上眼瞼に発生した肥満細胞腫。盛り上がっている部分以外にも腫瘍細胞は広がっており、十分な外科マージン(正常組織と腫瘍組織との余白)と供に切除しようとすると、左目を摘出しなければならない可能性が高い。 ご家族が眼球温存を希望したため、外科治療と電気化学療法の集学的治療(コラボ治療)を提案。まずは、眼球を温存した手術直後の写真(麻酔覚醒中)。手術の約2週間後に電気化学療法が単回実施された。 術後8カ月後の写真、傷も治癒し、現在までに肥満細胞腫の再発徴候はない。

イメージ

摘出された病理組織検査写真。紫色の小さなドットが全て腫瘍細胞。腫瘍細胞が写真下まで進展し、切除縁まで広がっている様子がうかがえる(矢頭)。残念ながら外科治療単独では不完全切除と判断され、このままでは再発する可能性が高いと判断された。

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電気化学療法実施2週間後の一過性副作用。電気化学療法実施部の皮膚に炎症が起こり、かさぶたができてた。

よくある質問集

Q.1どういうメカニズムで効果が得られるのですか?

症例ブレオマイシンの全身投与およびシスプラチンの局所投与後、腫瘍あるいは術創に約1200Vの電気パルスをかけると、一過性に腫瘍細胞の細胞膜透過性が亢進します。細胞膜透過性が亢進すると、細胞膜を隔てて細胞内に入ることができなかった化学療法剤が、飛躍的に腫瘍細胞内に取り込まれるようになります(ブレオマイシンでは700倍、シスプラチンでは1.8〜12.2倍)。ただし、細胞膜透過性の亢進は一過性で、化学療法剤が腫瘍細胞内に取り残されるたまま細胞膜の機能が正常化し、薬剤の効果が最大限に発揮されます(図1)。

Q.2電気が全身に与える影響は? 心臓が止まりませんか? 安全なんですか?

ECTでは、プローブと呼ばれる器具から半径約1cmの領域にのみ、電気パルスが流れます。ですので、よほど心臓の近くの腫瘍のECTでない限り、心臓に与える影響はほとんどありません。

Q.3電気化学療法って抗癌剤を使うのですか? 抗癌剤って聞くと、どうしても副作用が気になります。

使用される薬剤はブレオマイシンの全身投与(犬および猫)およびシスプラチンの局所投与(原則的に犬のみ)のコンビネーションです。ブレオマイシンはもともと副作用が少なく、全身投与で問題が生じることはまれで、本来は週1回以上の頻度で投与可能な薬剤です。ただし、肺線維症のリスクを回避するために、ブレオマイシンの蓄積量として125〜200mg/m2(ECTとしては7〜10回)を越えないようにします。
シスプラチンは、全身投与すると腎毒性や骨髄毒性などが発生することがあります。ただし、シスプラチンを全身投与時する場合の薬用量は 50〜60mg/m2ですが、ECTでは2.5cm四方に0.5mg(1ml)のシスプラチンを投与します。たとえば、10kgの犬で長さ約10cmの手術創をECTで治療する場合、実際に投与するシスプラチンの量は 2mg(4ml)と、全身投与量(23.5〜28.1mg)時の1/10以下となるため、シスプラチンの副作用は通常発生しません。また、猫でシスプラチンの投与は通常禁忌ですが、少量を腫瘍内投与する際は副作用が発生しにくく、ヨーロッパでは、シスプラチンの局所投与が猫でも使用されているようです。なお、短時間とはいえ、全身麻酔をかけますので、一般的な全身麻酔のリスクは伴います。

Q.4放射線治療と比べて、どちらの方が効果的ですか?

一般的に放射線治療の方が効果的です。確実な根治を目指したい場合は、放射線治療をお勧め致します。ただし、16〜20回照射する根治放射線治療の場合、月〜金曜日までの連日照射と約100万円の費用がかかります(いずれも日本小動物がんセンターの価格)。ECTの治療効果は、腫瘍を不完全切除で放置しておくより遥かに再発率を低減できますが、放射線治療ほど長期間におよぶ効果が認めらない可能性があります。根治放射線治療と比較して、ECTでは麻酔回数と費用の負担を抑えられるのも大きな特徴です。また、放射線治療による副作用が重度と判断される位置に発生した腫瘍の場合、あえてECTが選択される場合があります。

Q.5ECTの頻度や実施回数はどのような感じですか?

腫瘍種や病態にもよりますが、ECTの頻度は下記の通りです。

  1. 顕微鏡的病変(手術直後など、現在明らかな腫瘍がない)の場合は原則2回。肥満細胞腫の術後補助治療として使用する場合は、1回で終了することもあります。
  2. 肉眼的病変(明らかな腫瘍が存在)の場合は、原則2週間毎に最大6回まで。
Q.6電気化学療法って痛いんですか? 全身麻酔下で治療されるのですか? 局所麻酔ではダメですか?

電気をかける瞬間、痛みが生じます。そのため、通常の手術同様、全身麻酔下で行われます。一般的に局所麻酔では痛みを抑える効果は不十分です。

Q.7多発している腫瘍にも実施は可能ですか?

可能です。

Q.8犬や猫以外の動物にも実施可能ですか?

可能ですが、現在当院あるいはがんセンターでは実施していません。

Q.9良性腫瘍にも適応となることがありますか?

あります。犬の口腔内に発生する、棘細胞性エナメル上皮腫(棘細胞性エプリス)で実施することがあります。

Q.10局所にしか効果はないのですか?

はい。外科治療や放射線治療同様、ECTは基本的に局所治療です。ただし、アブスコパル効果として、ECT後に遠隔病変が縮小する可能性も示唆されています。

Q.11電気化学療法を試してみたいのですが、どうやって予約したらいいですか?

まずは、ホームドクターにご相談ください。当院あるいは日本小動物がんセンターにて治療を承ります。

Q.12やっぱりホームドクターからの依頼・紹介がないとダメですか?

はい。現在までの治療経過や薬剤の履歴、手術範囲、手術様式、組織検査結果の詳細など、ホームドクターから申し送りをして頂きたいことはたくさんあります。

Q.13埼玉まで遠くて行けません。埼玉県以外に実施している施設はありますか?

2019年1月の時点で、他にECTを実施している施設は、我々の知る限りございません。

Q.14他に実施している病院がないなんて、怪しい治療なのでは?

ECTを実施可能な動物病院が現在はあまりにも少なく、そのように思われる方がいらしても仕方ないかもしれません。 ECTはヨーロッパでは古くから人や動物で臨床応用されている治療法のひとつで、犬や猫の臨床腫瘍学におけるエビデンス(根拠)は多数報告されています。論文数で言えば、通常の化学療法の論文数に匹敵、あるいはそれより多い腫瘍もあります。なので、決して「怪しげな治療法」ではなく、現在は米国でも広まりつつある新しい治療法と考えて頂ければと思います。英語の論文となりますが、興味がございましたら、現在までに報告されている論文のアブストラクトをご参照下さい。ちなみに、基礎研究(実験動物における研究)の論文は、掲載しきれないほど多く、今回は掲載を見送っています。「Electrochemotherapy」をキーワードに、ご自身でPubmedからご検索ください。

手技時間

  • 麻酔も含めて30分程度、原則的に日帰り

プロトコール

  • 顕微鏡的病変に対して:2〜3週間毎に合計2回。肥満細胞腫の場合は原則的に1回。
  • 肉眼的病変に対して:2週間毎に最大6回程度

起こりうる副作用

  1. 1.一過性の痛み/発赤/浮腫(むくみ)
  2. 2.軽度〜中等度の皮膚炎
  3. 3.電気化学療法を施した部位の皮膚壊死(約15%の症例で発生)
  4. 4.全身麻酔によって生じる一般的な副作用/合併症など

費用

  • 猫、小型犬(〜10K):60,000円
  • 中型犬(10K〜20K):70,000円
  • 大型犬(20K〜):80,000円

*上記に含まれる料金:診察料、電気化学療法、全身麻酔、静脈内留置、当日の静脈内点滴、静脈内ブレオマイシン、シスプラチン局所注射
*電気化学療法が適応と判断される前の生検費用、持病の検査、麻酔前検査などは上記に含まれません。また、薬剤が処方される場合は上記の金額に加算されます。

参考文献とエビデンス

  • 電気化学療法に関連した論文(犬)
  • 電気化学療法に関連した論文(猫)