腫瘍細胞に800〜1200Vの電気を特殊な装置でかけると、通常は細胞膜を貫通しにくい化学療法剤が腫瘍細胞内に取り込まれやすくなります(ブレオマイシンでは約700倍)。その結果、腫瘍細胞内に高濃度で化学療法剤が行き渡り、細胞が死滅します。
全身あるいは局所に投与される化学療法剤は、一般的な化学療法の数分の1以下であるため、全身の副作用が発現することはまれです。また、治療器には電気の流れを制御するメカニズムが取り付けられている他、電気は2本のプローブ間のみを流れるように設定されているため、広い範囲に高い電圧がかかることもありません。
電気化学療法には、再手術あるいは放射線治療ほど強い局所制御力はありません。一方、腫瘍辺縁から正常組織までの余白が不十分である状況(=不完全切除あるいは辺縁部切除)で、経過観察をし続けるよりも再発率を低減することが可能と考えられています。電気化学療法はヨーロッパでは比較的古くから、そして、放射線治療(数十万〜)と比較して治療費が安価であることから、米国でも近年導入され始めています。また、最近は動物だけでなく、人でも臨床応用が始まっています。
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- 麻酔も含めて30分程度、原則的に日帰り
- 顕微鏡的病変に対して:2〜3週間毎に合計2回。肥満細胞腫の場合は原則的に1回。
- 肉眼的病変に対して:2週間毎に最大6回程度
- 1.一過性の痛み/発赤/浮腫(むくみ)
- 2.軽度〜中等度の皮膚炎
- 3.電気化学療法を施した部位の皮膚壊死(約15%の症例で発生)
- 4.全身麻酔によって生じる一般的な副作用/合併症など
- 猫、小型犬(〜10K):60,000円
- 中型犬(10K〜20K):70,000円
- 大型犬(20K〜):80,000円
*上記に含まれる料金:診察料、電気化学療法、全身麻酔、静脈内留置、当日の静脈内点滴、静脈内ブレオマイシン、シスプラチン局所注射
*電気化学療法が適応と判断される前の生検費用、持病の検査、麻酔前検査などは上記に含まれません。また、薬剤が処方される場合は上記の金額に加算されます。