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よくある質問集

Q.1どういうメカニズムで効果が得られるのですか?

症例ブレオマイシンの全身投与およびシスプラチンの局所投与後、腫瘍あるいは術創に約1200Vの電気パルスをかけると、一過性に腫瘍細胞の細胞膜透過性が亢進します。細胞膜透過性が亢進すると、細胞膜を隔てて細胞内に入ることができなかった化学療法剤が、飛躍的に腫瘍細胞内に取り込まれるようになります(ブレオマイシンでは700倍、シスプラチンでは1.8〜12.2倍)。ただし、細胞膜透過性の亢進は一過性で、化学療法剤が腫瘍細胞内に取り残されるたまま細胞膜の機能が正常化し、薬剤の効果が最大限に発揮されます(図1)。

Q.2電気が全身に与える影響は? 心臓が止まりませんか? 安全なんですか?

ECTでは、プローブと呼ばれる器具から半径約1cmの領域にのみ、電気パルスが流れます。ですので、よほど心臓の近くの腫瘍のECTでない限り、心臓に与える影響はほとんどありません。

Q.3電気化学療法って抗癌剤を使うのですか? 抗癌剤って聞くと、どうしても副作用が気になります。

使用される薬剤はブレオマイシンの全身投与(犬および猫)およびシスプラチンの局所投与(原則的に犬のみ)のコンビネーションです。ブレオマイシンはもともと副作用が少なく、全身投与で問題が生じることはまれで、本来は週1回以上の頻度で投与可能な薬剤です。ただし、肺線維症のリスクを回避するために、ブレオマイシンの蓄積量として125〜200mg/m2(ECTとしては7〜10回)を越えないようにします。
シスプラチンは、全身投与すると腎毒性や骨髄毒性などが発生することがあります。ただし、シスプラチンを全身投与時する場合の薬用量は 50〜60mg/m2ですが、ECTでは2.5cm四方に0.5mg(1ml)のシスプラチンを投与します。たとえば、10kgの犬で長さ約10cmの手術創をECTで治療する場合、実際に投与するシスプラチンの量は 2mg(4ml)と、全身投与量(23.5〜28.1mg)時の1/10以下となるため、シスプラチンの副作用は通常発生しません。また、猫でシスプラチンの投与は通常禁忌ですが、少量を腫瘍内投与する際は副作用が発生しにくく、ヨーロッパでは、シスプラチンの局所投与が猫でも使用されているようです。なお、短時間とはいえ、全身麻酔をかけますので、一般的な全身麻酔のリスクは伴います。

Q.4放射線治療と比べて、どちらの方が効果的ですか?

一般的に放射線治療の方が効果的です。確実な根治を目指したい場合は、放射線治療をお勧め致します。ただし、16〜20回照射する根治放射線治療の場合、月〜金曜日までの連日照射と約100万円の費用がかかります(いずれも日本小動物がんセンターの価格)。ECTの治療効果は、腫瘍を不完全切除で放置しておくより遥かに再発率を低減できますが、放射線治療ほど長期間におよぶ効果が認めらない可能性があります。根治放射線治療と比較して、ECTでは麻酔回数と費用の負担を抑えられるのも大きな特徴です。また、放射線治療による副作用が重度と判断される位置に発生した腫瘍の場合、あえてECTが選択される場合があります。

Q.5ECTの頻度や実施回数はどのような感じですか?

腫瘍種や病態にもよりますが、ECTの頻度は下記の通りです。

  1. 顕微鏡的病変(手術直後など、現在明らかな腫瘍がない)の場合は原則2回。肥満細胞腫の術後補助治療として使用する場合は、1回で終了することもあります。
  2. 肉眼的病変(明らかな腫瘍が存在)の場合は、原則2週間毎に最大6回まで。
Q.6電気化学療法って痛いんですか? 全身麻酔下で治療されるのですか? 局所麻酔ではダメですか?

電気をかける瞬間、痛みが生じます。そのため、通常の手術同様、全身麻酔下で行われます。一般的に局所麻酔では痛みを抑える効果は不十分です。

Q.7多発している腫瘍にも実施は可能ですか?

可能です。

Q.8犬や猫以外の動物にも実施可能ですか?

可能ですが、現在当院あるいはがんセンターでは実施していません。

Q.9良性腫瘍にも適応となることがありますか?

あります。犬の口腔内に発生する、棘細胞性エナメル上皮腫(棘細胞性エプリス)で実施することがあります。

Q.10局所にしか効果はないのですか?

はい。外科治療や放射線治療同様、ECTは基本的に局所治療です。ただし、アブスコパル効果として、ECT後に遠隔病変が縮小する可能性も示唆されています。

Q.11電気化学療法を試してみたいのですが、どうやって予約したらいいですか?

まずは、ホームドクターにご相談ください。当院あるいは日本小動物がんセンターにて治療を承ります。

Q.12やっぱりホームドクターからの依頼・紹介がないとダメですか?

はい。現在までの治療経過や薬剤の履歴、手術範囲、手術様式、組織検査結果の詳細など、ホームドクターから申し送りをして頂きたいことはたくさんあります。

Q.13埼玉まで遠くて行けません。埼玉県以外に実施している施設はありますか?

2019年1月の時点で、他にECTを実施している施設は、我々の知る限りございません。

Q.14他に実施している病院がないなんて、怪しい治療なのでは?

ECTを実施可能な動物病院が現在はあまりにも少なく、そのように思われる方がいらしても仕方ないかもしれません。 ECTはヨーロッパでは古くから人や動物で臨床応用されている治療法のひとつで、犬や猫の臨床腫瘍学におけるエビデンス(根拠)は多数報告されています。論文数で言えば、通常の化学療法の論文数に匹敵、あるいはそれより多い腫瘍もあります。なので、決して「怪しげな治療法」ではなく、現在は米国でも広まりつつある新しい治療法と考えて頂ければと思います。英語の論文となりますが、興味がございましたら、現在までに報告されている論文のアブストラクトをご参照下さい。ちなみに、基礎研究(実験動物における研究)の論文は、掲載しきれないほど多く、今回は掲載を見送っています。「Electrochemotherapy」をキーワードに、ご自身でPubmedからご検索ください。