ククちゃん(9歳齢、避妊済み雌、シェトランド・シープドッグ)の右甲状腺に発生した甲状腺癌に対する標準的治療法は、被膜ごと甲状腺癌を完全に摘出する外科治療です。一方、ククちゃんの甲状腺癌は比較的大型かつ下部組織に固着しており、外科摘出は困難を極めました。がんセンターとのコラボで手術は無事終了しましたが、一部腫瘍組織が血管内に残存してしまいました。これらの腫瘍組織に対する補助治療として化学療法(カルボプラチン)を合計4回、副作用はほとんど発現しませんでした。その後フィロキシコブによる補助治療を開始し、残存する腫瘍の大きさを維持しています。一方、ククちゃんは慢性腎臓病も患っているので、腎機能と注意深くモニターしながらフィロコキシブの投与を週3回に制限しています。幸い、治療開始から現在まで約20カ月間、ククちゃんは日々元気に過ごしています。