ほとんどの化学療法剤は、約24〜48時間、薬物あるいはその代謝物として、尿や糞便中にある程度排泄されます。ですので、化学療法投与後2日程度は動物の体液に直接触れないように心がける必要があります。化学療法後の体内排泄物の管理について、いくつかの手順を下記にご紹介致します。
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手袋を着用します
排泄物を処理する必要がある場合は、ラテックス製の手袋を着用し、処理後は手袋をはずしてゴミ箱に捨て、手を洗ってください。
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ゴミはビニール袋に入れてから捨ててください
猫砂を使用する場合は、固まりやすい砂を使用してください。ゴミをすくうときはラテックス製の手袋を着用し、すくった後は手を洗い、手袋ははずしてゴミ箱に捨て手を洗ってください。これらのゴミはビニール袋に入れてからゴミ箱に捨ててください。
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多頭飼いの場合、できるだけ頻繁に掃除を心がけてください
他の猫に別のトイレを使用させることができれば理想的です。もし不可能な場合は、他の猫が患者の排泄物を足につけて毛づくろいすることがないように、できるだけ頻繁にトイレを掃除するよう心がけて下さい。
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屋外で排泄させる場合
屋外で排泄させる場合は、尿がすぐに希釈され、薬物や代謝物が日光や雨で不活性化されるような土の上でさせるよう心がけて下さい。
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固形廃棄物を拾う必要がある場合
固形廃棄物を拾う必要がある場合は、ラテックス手袋を着用し、ビニール袋に入れてゴミ箱に捨ててください。
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排泄物を人のトイレに流す場合
排泄物を人のトイレに流す場合は、トイレの蓋を閉めて、2回に分けて流してください。
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普段のトイレ以外で糞尿をしてしまった場合
家庭内で、普段のトイレ以外で糞尿をしてしまった場合、まず手袋を装着し、ペーパータオルなど使い捨ての吸収体(捨ててもかまわない古タオルなど)を使用してください。それらはビニール袋に入れてゴミ箱に捨てて下さい。化学療法剤には漂白剤が最も効果的ですが、漂白剤が使用できない場合は、他の石鹸やクリーナーを用いてもかまいません。
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寝具類が汚れた場合
汚れた寝具類は、なるべく洗わずに捨ててください。
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他の動物を飼育している場合
他の動物が、患者の排泄物を摂取しないよう気をつけて下さい。
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誤って排泄物に触れてしまった場合
誤って排泄物に触れてしまった場合、慌てず、石鹸と多量の水で洗い流してください。最も高濃度で排泄される薬物でも約48時間かけて排泄されるので、1回の排泄量はペットが受けた量の数分の1、実際に皮膚に付着する量はその数分の1、皮膚を透過するのはごくわずかな量に過ぎません。
上記の処置に加え、妊娠中または妊娠の可能性のある女性は、以下のことを心がけて下さい。
- 化学療法が行われている間は、その部屋にいないようにしてください。化学療法が実施されている部屋には入らないよう気をつけて下さい。
- 自宅で行うために調剤された化学療法薬を、決して扱わないでください。
- 化学療法を受けたペットの尿や糞便を扱わないよう心がけて下さい。過去3日以内に化学療法を受けたペットの尿や排泄物を扱わないください。これらの仕事は他の家族に任せてください。