048-441-0493
〒335-0002 埼玉県蕨市塚越1-5-7 蕨駅より徒歩2分

動物と人に優しい女性獣医師と、もしもの時の専門医

がん治療のサクセスストーリー

ホーム>がん治療のサクセスストーリー

犬の大細胞性消化器型リンパ腫:中〜高齢動物の定期的な健康診断は大切

タケル君(8歳齢、去勢雄、柴犬)の小腸に見つかったT細胞性大細胞性リンパ腫。非常に悪性度が高いリンパ腫で、かなり手強い相手です。様々な治療を組み合わせても、長期生存は通常なかなか…

今回は、定期的な健康診断時に見つかった軽度な非再生性貧血(Ht=33%)が精密検査に進むきっかけとなりました。各種精密検査の結果、タケル君の小腸にでき物が見つかり、それが貧血の原因であることが分かりました。その時のタケル君はいたって元気で、下痢や嘔吐などの症状もありません。その後、日本小動物医療センターとのコラボで、消化管のできものは無事摘出されましたが、その結果は、なんとT細胞性大細胞性消化器型リンパ腫。通常は手術だけでなんとかなる病気ではありません。元気なタケル君に悪性度の高いがんが見つかってしまうなんて、ご家族にとっては寝耳に水。ご家族はタケル君のことを我が子の様に可愛がっており、できることなら何でもしてあげたいと。今回はがんが早期に発見された強みを活かし、徹底的に闘う治療プランを考案しました。

抜糸後すぐに、ロムスチンを主体とした化学療法を開始しました。ロムスチンは、骨髄抑制以外の副作用が少ないのが特徴ですが、その分、骨髄抑制は最も強い化学療法剤のひとつです。特に投与後5〜7日目に白血球数が基準値を大きく下回ることもあり、薬用量の設定や併用薬の処方にとても気を遣います。でも、タケル君の頑張り、そしてなによりも、ご家族が体温、心拍数、呼吸数を毎日2回、欠かさず計測してくれたことも手伝って(自宅入院と呼んでいます)、合計12回の化学療法中、タケル君が化学療法の副作用で苦しむことはありませんでした。化学療法完了後も毎月欠かさず画像検診をしていますが、手術から現在まで約17カ月間、リンパ腫の局所再発や転移もなく、タケル君は日々元気に過ごしています。

イメージ

イメージ 尊(タケル)の闘病記

2019年秋に、小林哲也先生からシニア犬の研究をしているので、尊の検査データを研究材料に提供して欲しいと声掛けがありました。飼い主としては尊は全く健康体と思っていましたので、お役に立てるのならと検査していただきました。
ところが検査の結果、腹部にしこりがあり腹水も溜まっていることが判明し、所沢の日本小動物医療センターで摘出手術をいたしました。
その際の血液検査の結果、尊がリンパ腫を患っていることが発覚しました。
家内を3年前に脳腫瘍で見送っていた私は頭が真っ白!

先生の犬のリンパ腫治療は副作用がほとんどないという説明から治療することを決心し、2020年1月から小林先生の「発見が早かったからラッキーです。根治させましょう!」のお言葉のもと抗がん剤治療が始まりました。
毎週の採決、三週毎の抗がん剤投与。
しかし尊はこれまでの日常と変わりなく、食欲旺盛、ウンチにも変化が見られずコロコロ、お陰様で本当に病気持っているのと犬友がびっくりするほどの毎日でした。飼い主孝行でした。

治療中も先生から「奇跡の犬」といわれるほど順調に経過して、治療には数年かかると覚悟していた2020年9月14日、抗がん剤12回目の投与3週間後の診察で先生から、抗がん剤治療の終息宣言をいただいたのです。
その場では思わず込み上げる感情を抑えて、帰宅後尊を抱きしめて、「頑張ったね!頑張ったね!」と暫くは動くことができませんでした。

愛犬の様々な病気と闘っている飼い主の皆さん、奇跡は起こります!
回復を信じて、愛犬の頑張りを共有して日々過ごしていれば何かが起こることを身をもって体験しました。(原文のまま)